不動産投資の出口戦略の立て方|売却のタイミングと成功のコツ
「不動産投資を始めたいけど、うまく行かなかったらやめられるのかな?」
「物件を売りたいけど出口戦略ってどうやって立てるの…?」
不動産投資を始めるにあたり、「うまくいかなかったときにやめられるかどうか」という不安がある方はいらっしゃいますよね。
目次
出口戦略とは?
まず「出口戦略」とは何かと言うと、Wikipediaにはこのように書かれています。
出口戦略(でぐちせんりゃく、exit strategy)とは、軍事的もしくは経済的な損害が続く状況から損失・被害を最小限にして撤退する戦略である。
(出口戦略 – Wikipedia より)
不動産投資における出口戦略とは、「保有不動産を売却する計画」のことです。
不動産売却の理由には、資産組み換えのためや利益を出すため、損失を抑えるためなど、様々な理由が考えられます。
出口戦略が必要な理由の1つに、“経営状態が悪くなったときの損失を防ぐため”ということもありますが、ただ「儲からなくなったら売ればいいんでしょ?」という話でもありません。
損失を最小限に抑えるためには、売却のタイミングやコツ、そもそも購入時にどのような物件を選んでいるかも重要になってきます。
ここからは、不動産投資の出口戦略(としての売却)に踏み切るタイミングについて、より詳しく説明していきます。
出口戦略が必要となる3つのタイミング
「儲かっている実感がない…」「経費がかかりすぎている気がする」などを理由に、売却を検討されることがあるかもしれませんが、「なんとなくうまく行っていない……」と感じたからといって、闇雲に手放すのは得策ではありません。
出口戦略が必要となる代表的なケースは次の3パターン。
- 空室が長引いているとき
- 家賃を下げなければならないとき
- 管理費や修繕積立金が上がって所得が減るとき
なぜこのタイミングで出口戦略が必要になるか、理由を説明していきます。
【1】空室が長引いているとき
入居者がなかなか見つからず、物件の空室が続いている状態、つまり家賃収入が全く入って来なくなると、支出が増えるばかりでうまく行っているとはいえません。
現状、人口流出が進む地域であれば、今後も空室が続く可能性大です。
空室対策として、サブリース(家賃保証)がありますが、あまりにも空室が続く物件では保証家賃の引き下げを余儀なくされることがあります。
【2】家賃を下げなければならないとき
家賃の引き下げが必要な場合も、出口戦略を視野に入れておかれたほうが良いかもしれません。
たとえば、新築当初から、長期間住んでいる入居者がいる場合、当時の高い家賃が維持されていることがあります。
しかし、その人が退去すると、次は相場程度の家賃、もしくは築年数を考慮して相場より低い家賃設定でないと入居者が見つからない可能性があります。
そうなると想定していた収益を得ることが出来なくなるので、投資用不動産を手放したほうがいいケースがあります。
家賃低下で済めばいいものの、そういった物件は空室リスクにも晒されるかもしれません。
【3】管理費や修繕積立金が上がって所得が減るとき
管理会社や形態が変わり、管理費が上がるほか、築年数によっては修繕積立金が大幅に上がることがあります。
そういった場合、当初想定していた収支計画どおりにいかず、不動産投資のせいで生活が苦しくなることすら考えられてしまうのです。
出口戦略を立てやすい!売却を視野に入れた物件の選び方
まだ不動産投資を始める前で、「どんな物件を選ぶと安心かな?」と思われている方や、売却後に「次はどんな物件を買おうかな?」と考えている方もいらっしゃるかと思います。
そういう方におすすめの、出口戦略を立てやすい物件の特徴を4つ紹介します。
- 駅近物件
- 築浅物件
- 管理が行き届いている物件
- 国の施策として人の集まりそうなエリア
【1】駅近物件|空室になりにくい
特に主要駅や主要駅までのアクセスが良い駅の近くは、多少築年数が古くなっても人気物件として空室になりにくいといわれています。
こういった物件はそもそも空室になりにくく、手放す必要もあまりないかもしれませんが、売却するにしても買い手が付きやすく、安く買い叩かれることも少ないです。
【2】新築・築浅物件|安全安心・キレイで人気
新築物件や築浅物件は、建物の安全性が高く、使用感が少なくキレイなので、やはり人気が高くなります。
また、出費となる管理費や修繕積立金も中古物件に比べて低くなる傾向にあります。
売却時に築年数が古すぎる物件だと、買い手が十分なローンを組みにくいため、売りにくくなるという可能性もあります。
【3】管理が行き届いている物件|住み心地がよく長持ちする
新築物件の場合は判断しづらい点ですが、中古物件の場合は建物がしっかり管理されているかどうかも、出口戦略しやすい投資用不動産選びのポイントになります。
- 植木が伸び放題になっていないか
- 建物のヒビがそのままになっていないか
- 集合ポストまわりにチラシなどのゴミが散乱していないか
- ゴミ置き場がキレイか ……etc
こうした様々な視点で、物件の管理が行き届いているかどうか見ておくと良いでしょう。
管理が行き届いていると入居の決め手になりますし、住みよい環境を維持してもらえるため、退去者が出にくいので「入居者がいる状態で売却」できる可能性があり、こちらは買い手に大きなメリットとなります。
【4】国の施策として人の集まりそうなエリアの物件
今まで寂れていたけれど再開発が進んでいる都市部・郊外や、コンパクトシティ化に伴い物件が増えている地域なども、おすすめです。
こちらの場合、物件価格があまり下がらず、比較的高く売れる可能性もあります。
“ローン残債を意識した出口戦略”で長期的に安心して運用できる
「不動産投資は長期的に運用してこそ……」と言っても、20年も30年、あるいはそれ以上の年数、うまく運用できるのか不安ですよね。
物件価格は、一般的に築年数の経過によって下がるため、新築当時の価値を保てないことについての懸念もあるかと思います。
そのような方に知っていただきたいのが、ローン残債を意識した出口戦略です。
不動産投資を始める際、多くの方が毎月の返済額が一定で返済計画が立てやすい元利均等返済を選ばれるかと思います。
毎月のローン返済額は変わらずに、その内訳の元金と利息の比率が変わっていく、この元利均等返済方式では、年々返済額に占める利息の割合が減り、元金の割合が増えていきます。
つまり、買ってすぐに売却するよりも15年程度経過して、元金返済が進んだ状態で売却する方が、売却益を得やすいといえるでしょう。
ですので、前章(出口戦略を立てやすい物件の選び方)で紹介したような安定的な運用が見込める物件を選び、15年程度保持できれば、仮に売却するとしても、十分な利益を得られると言われています。
年数と売却のシミュレーション|価格が下がっても売却益が上がる
ここでは仮の基本条件を立てて、売却益のシミュレーションをしてみましょう。
以下の基本条件で、「5年後」「15年後」「35年後」のシミュレーション例をご覧いただくと、年数を経れば経るほど、物件価格自体は下がるものの、売却益は上がっていくことがお分かりいただけるかと思います。
【基本条件】
物件購入価格:20,900,000円
ローン借入額(元金):20,800,00円
ローン年数:35年
年間の手取り家賃:802,560円(月々66,880円)
年間のローン返済額:826,824円(月々68,902円)
年間の固定資産税等の支出:40,000円
――基本情報から5年後
物件価格:19,856,666円(-1,043,334円・購入額の約95%)
ローン残債(元金):18,904,626円
収支累計(家賃—支出):-393,100円
売却益:751,140円
――基本情報から15年後
物件価格:17,494,396円(-3,405,604円・購入額の約80%)
ローン残債(元金):13,941,664円
収支累計(家賃—支出):-1,035,740円
売却益:2,709,192円
――基本情報から35年後
物件価格:12,769,856円(-8,130,144円・購入額の約60%)
ローン残債(元金):479,505円
収支累計(家賃—支出):-2,321,020円
売却益:10,161,531円
不動産投資は出口戦略も視野に入れた購入や運用がおすすめ
不動産投資は、基本的に「老後の収入源として長期的に運用することが大切」と言われています。
しかし、「ローンを組んで35年も持ち続けるのは不安だな……」と思われている方は、今回紹介したように、ローン残債を意識した出口戦略を立てておくことがおすすめです。
ある程度の年数保有するだけでも、万が一のときに売却して利益を得られるので、「35年はちょっと……」という方も、15年なら少しは気持ちが軽くなりますよね。
サブリース契約も投資用不動産の長期保有に関わる要素ですので、詳しく知りたい方は下記コラムを併せてご覧ください。
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