サラリーマン大家の4つの失敗 | 失敗しないためにこだわる2つのポイント
不動産投資・運用を副業と捉え、「サラリーマン生活と両立させていきたい」とお考えの方が、非常に多くいらっしゃいます。
堅実的に資産を形成していくという観点において、サラリーマンと不動産大家の二足のワラジを履くことは、いい判断です。
しかし、「サラリーマンとしてなら、不動産投資に簡単に手を出せる!」と思い込むことは大きな間違いで、諸々の認識が甘いと、資産を増やすどころか想定以上のマイナスになってしまう、つまりは失敗してしまうことが、決して珍しくはないのです。
今回は、一見堅実的なサラリーマン大家がどんな失敗をしがちなのか、そしてそのような失敗がないように、限られた時間の中でも必ずこだわるべきポイントとはどこなのか、まとめました。
目次
サラリーマン大家によくある4つの失敗
- 利益をキャピタルゲインで出そうとしてしまう
- 地方で安くアパートやマンションを新築してしまう
- 入居者の属性が偏っていることに気付かない
- ファミリータイプのマンションを購入したが利益が出ない …etc
不動産投資で失敗してしまう理由には、実に様々なものがあります。
ここでは、“サラリーマンだからこそ陥りやすい失敗”に絞って、4つの例を挙げてみました。
【1】キャピタルゲインを重視してしまう
投資の概念におけるキャピタルゲインとは、売買差益のことを指します。
売買差益を生むことがベースの株式投資のイメージ、およびバブル時代に盛んだった不動産売買のイメージから、現代の不動産投資においても、“キャピタルゲイン(売買差益)を狙うもの”と認識している方がごく稀にいらっしゃるのですが、これは間違いです。
不動産投資・運用によって得られる利益は、長期的な保有によって生まれる利益、すなわちインカムゲインなのです。
不動産は株式などと違い、流動性の低い(簡単には売れない)投資商品なので、短期間で売買差益を狙うことには、非常に不向きです。
“物件の価値が購入時よりも高くなり、売ると利益が生まれる”という状況には、今後もおそらくならないので、キャピタルゲインを狙った格安投資用不動産は買わないようにしましょう。
【2】地方で安くアパートやマンションを新築してしまう
まだ貯蓄額に不安がある若年のサラリーマンが、不動産投資を始めるにあたって、「最初の手出し費用をなるべく低く抑えたい」と考えることは、決して不思議なことではありません。
むしろ、自然なことであると言っても、過言ではないでしょう。
「安く利回りの良い投資用不動産を手に入れたい」、そんな気持ちを抱えるサラリーマンの目においしく映るのは、地方アパート・マンションの新築です。
手出し費用をなるべく安くしたいサラリーマンは、“地方であれば新築アパートやマンションを安く建てられる”ことを、大きなチャンスだと捉えてしまいがちです。
しかし実際は、地方物件であるというデメリットが、新築物件であるというメリットよりも大きいことがほとんどなのです。
つまり不動産投資において、築年数と立地条件では、立地条件のほうを優先すべきであると言えます。
いくら新築でピカピカでも、通勤や通学に不向きで家賃も高いような物件では、入居者が付きにくいです。
比較的少額であるとはいえ、投資用不動産購入後のローン返済に苦しむようでは、その不動産投資は失敗であると言えるでしょう。
【POINT】地方中古アパート運用(リノベーション前提)もサラリーマン大家には不向き
ちなみに、地方中古アパートの購入に踏み切ることも、サラリーマン大家にとっては悪手です。
地方アパート運営の懸念点である、空室率を低く抑えるためには、リノベーション・リフォームが必要です。
しかしこのリノベーションを成功させるためには、リノベーションに関して豊富な知識を持っていることが必要不可欠です。
自由な時間が限られているサラリーマン大家が、リノベーションの知識について“玄人”の域に達するのは現実的に厳しい、あるいは並大抵ではない時間と労力がかかると想定できます。
【3】入居者の属性が偏っていることに気付かない
入居者の属性が偏っていると、その“偏りの理由”がなくなった時に、一斉に入居者がいなくなる可能性があります。人気物件が、一気に不人気物件へと急落する可能性を、秘めているのです。
例えばある地方で、これまで空室が続いたことがほぼ無いという、単身用アパートが見つかったとします。
「空室が続いていない実績があって安心なのでは?」と思われるかもしれませんが、考えるべきは、“何故、これまで空室が続いていないのか?”という部分にあります。
ここで、入居者の属性を確認してみましょう。アパートの入居者は、大学生に偏っていることが分かりました。すぐ近くに大学があるためです。
この例の場合、近くにある大学がなくなったら、アパートの入居状況はどうなるでしょうか?
“学生がそのアパートで1人暮らしをする理由がなくなる”のですから、一気にアパートがガラガラになってしまい、何か別の理由ができない限り、入居者がまったく付かなくなる状況が、容易に想定できます。
基本的に、サラリーマン大家には時間的な余裕がありません。
かといって、投資用不動産の実情を知ること、そして周辺環境の情報の収集を怠ってしまうと、ここで例で挙げたような大失敗をしてしまうのです。
これを防ぐため、「サラリーマンだから忙しい!」としても、現地調査は必ず行うべきです。
【4】ファミリータイプのマンションを購入したが利益が出ない
営業マンに「区分投資をするなら、家賃が高いファミリー向けを選ぶといい! あれこれ手出しはできないサラリーマンであれば、たった1つの物件で多く利益を得られたほうがいいですよ!」と推されるがままに購入、しかしまったく利益が出ず失敗するというケースが、稀に聞かれます。
ファミリータイプのマンションは、文字通り「家族で住まうマンション」です。夫・妻・子ども・ペットなど、かけがえのない、ひと家族が生活します。
そのため単身向けマンションよりも、様々な条件がシビアに検討されます。
- 騒音はないのか?
- 治安はいいのか?
- 専用駐車場はあるのか?
- セキュリティが強化されているか? …etc
入居者がクリアしたいと思う条件が多い、つまり無事に契約してもらうまでの道のりが厳しいため、区分マンション投資で資産を形成していきたいサラリーマンにとって、リスキーなのです。
確かに、単身向けのマンション1部屋よりも、ファミリーマンション1部屋のほうが、家賃設定を高く設定できるのかもしれませんが、入居者が決まらないことには、まったく意味がありません。
不動産投資で失敗しないためにサラリーマン大家がこだわる2つのポイント
- 区分マンション投資を第一に検討すること
- 不動産管理会社選びにこだわること
「まずは少額から不動産投資を始めたい」、または「仕事のほうが忙しくて不動産の管理に時間を割けない」と悩まれがちなサラリーマン大家が、不動産投資・運用で失敗するリスクを最小限レベルに抑えていくためには、やるべきこと(考えるべきこと)が2つあります。
【1】区分マンション投資を第一に検討すること
投資用不動産には、戸建・一棟マンション・区分マンションなど、様々な種類があります。
海外の不動産投資まで視野に入れると、プレビルド(工事が着手される前に物件を買うこと)もありますが、「工事着手前に向こうの建設会社が倒産、計画が頓挫してしまう」という失敗談から考えると、ハイリスクです。
上記のように様々な投資用不動産の種類がある中、特にサラリーマン大家に向いているのは、区分マンションです。
- 維持計画を自分で立てる必要がないという時間的なメリット
- 空室率が低い好立地の物件を安く購入できるという資金的なメリット
上記2つのメリットを兼ね備えていることは、サラリーマン大家にとって好条件だからです。
投資用不動産の種類やそれぞれの特徴について、今一度知っておきたい方は、下記コラムをご参照ください。
【2】不動産管理会社選びにこだわること
普段の仕事が忙しいサラリーマン大家は、不動産管理会社とパートナーシップを結ぶことが多いかと思います。
物件選びにこだわることは大前提として、サラリーマン大家は、不動産運用における実務的な部分を任せる不動産管理会社選びにも、きわめて慎重にならなくてはいけません。
不動産管理会社の優劣は、空室率に大きく影響します。いい投資用不動産を購入しても、不動産管理会社が駄目だと、いわゆる「宝の持ち腐れ」状態になってしまうことが、考えられるのです。
信用できるか否か、担当者と実際に膝をつきあわせてみて、直感的に判断することも1つの方法ではありますが、客観的な判断軸を持っておいたほうがいいです。
例えば、限られた範囲で厚い信頼を集めることに注力し、周辺環境にも詳しい地域密着型の不動産管理会社や、口コミなどを参考に、入居者の募集力に長ける不動産管理会社を選ぶことがオススメです。
ただし、いい不動産管理会社を選んだとしても油断は禁物。
何故なら、「不動産仲介会社に運営を丸投げしていて、マイナス運用に気付くのが遅れた」という失敗談が、稀に聞かれるためです。
まとめ
ネット検索をしていると、「サラリーマン大家で大失敗」、または「悲惨な失敗をしたサラリーマンが…」などと、ネガティブインパクトが強い意見がどうしてもたくさん目に入り、「サラリーマンの自分が不動産投資を始めるなんて、無謀なのでは…?」と自信を失くしてしまうかもしれません。
しかし実際は、サラリーマン“だから”失敗するのではなく、物件選びやパートナーの会社選び、その他情報収集がうまくゆかずに失敗することが大半で、「サラリーマンは不動産投資に向いていない」という意見は、的を外れていると言っても過言ではないでしょう。
むしろ、サラリーマンとしての属性を活かして、不動産投資・運用を有利に進めるという考え方もあります。
勤続年数が長ければ個人の信用力が高く評価され、不動産投資ローンがおりやすくなったり、サラリーマンになってから新聞を読む習慣が身に付いている方であれば、自然と経済情勢にアンテナを張れることになります。
様々の失敗例を確認し、忙しいことを理由に情報収集を怠ることが無ければ、サラリーマン大家として成功することが、身近になるはずです。
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