日本人の8割が「年金不安」を抱えている?| 不安を解消するための4つの行動
「老後、自分が年金を頼りに生活できるのか不安を感じる」と考える方が、とても増えてきました。
現実的に”老い”を感じる機会が増え、老後の生活が徐々にイメージされてくるミドルシニア世代(40~60代)だけでなく、20代前半など非常に若い世代からも、老後の生活に対する不安の声が挙がっています。
年金の不安を煽るわけではないですが、確かに年金制度が30年後や40年後、どのように機能しているのか、その展開を予想することは困難です。
完全に年金の不安・老後の生活の不安を解消することはできないものの、少しでも不安を軽減しながら生きていくために、今からできることはたくさんあります。
まずは今の年金制度に頼りきらないで、老後に余裕を持って生活するための資産の蓄え方について、考えてみましょう。
目次
年金不安を抱える人は8割超、1,000万円の貯金を持つ人も悩んでいる
日本ファイナンシャル・プランナーズ協会(日本FP協会)は2016年、全国の20歳以上の男女1200人を対象に、『老後とお金に関する調査』と題したアンケートを行いました。
その結果、20代から50 代までの世代に最も多いお金の悩みは、「将来年金がもらえるのか心配」ということだと判明しました。
老後の生活資金については、「どちらかというと」という意見も含めると、全体(1200人)の8割以上の方が「不安に思う」と回答しています。
さらに、興味深いことがあります。
それは、”現在の貯蓄額別”にも統計をとったところ、「貯金が900万円以上ある」という層でも、7割以上の方がやはり「老後の生活資金について不安を持っている」と答えたことでした。
年金をきちんと納めて、そして若い頃からコツコツと貯金をして、1,000万円単位の資産がすでにある方でも、不安の要素は消えないようです。
- 老後の生活費の目安を見ると、年金だけでは足りないと思う
- 年金を受給できる年齢が遅くなったとして、自分はそれまで働けるのか
- 自分や家族が病気になった場合、貯金と年金だけでは生活できないと思う …etc
上記のように、年齢や今現在の貯蓄額には関係なく、老後のお金ひいては年金に関する悩みは、人それぞれ尽きないものであるのだと、考えられます。
<参考リンク>
⇒ 日本ファイナンシャル・プランナーズ協会『老後とお金に関する調査』
※上記ページへの「新しいタブ」が開きます。
年金の不安を抱える人が始めるべき4つの行動
年金や老後の資金に対する不安は、条件に関係なく多くの方々が持たれています。
未来を見通すことはできませんから、それも当然のことと言えそうです。
しかし、老後のお金に関する大きな不安を抱えたままで、長い人生を送ることはもったいないことのように思えてきませんか?
そう思われる方は、受け身の姿勢で不安を募らせるのではなく、自らアクションを起こしていくことを推奨します。
- 自分の収支や、受け取る年金の見込み額を把握する
- セミナーへ行ったりFPに相談するなどして、プロから情報を集める
- 加入している保険を見直す
- 貯金とは別に余剰資金を作り、運用を行う
年金の不安・老後資金の不安をゼロにすることはできなくても、不安の大きさを少しずつ小さくしていくことは可能です。
上記4つの行動の流れを、それぞれ詳しく見ていきましょう。
【1】自分の収支や、受け取る年金の見込み額を把握する
年金や老後の生活のことに限らず、人は分からないことがあると不安になるものです。
先述した、日本ファイナンシャル・プランナーズ協会は『老後とお金に関する調査』の第2弾を実施しました。
そこでは、”老後の生活資金について不安に思うと答えた方”のうち、約3割が「自分で情報収集をしていない」と回答したという結果が出ています。
こうした方々が抱える不安の正体は漠然としていて、「では具体的にどこに不安を持っているのか?」と聞かれると、答えに窮してしまいます。
年金や老後の生活について、自分で情報収集をしていない方は、まず何が分からないのか、分からない状態からの脱却を目指しましょう。
――「自分のお金の使い方を明確化する」
まずは、“今の自分とお金のこと”について明確化が必要です。
- 自分の毎月の収入はいくらなのか?
- 自分の毎月の支出はいくらなのか?
- 毎月お金を何に使っているのか? ※貯金をする際は特に重要
年金不安を抱える方の中には、自分のお金の使い方を把握していない方が少なからずいらっしゃいます。
老後に向けた貯金・貯蓄のシミュレーションをするためにも、まずは毎月の収支や支出の内訳をできるだけ明確にしておきましょう。
――「年金記録や受取年金見込み額を調べる」
そして、「実際のところ自分は老後、いくら年金をもらえるのか?」を知ることも大事です。
日本年金機構のサイト『ねんきんネット』を活用すれば、これまでの年金記録、および将来受け取る年金の見込額をいつでも確認することができます。
<参考リンク>
⇒ 日本ファイナンシャル・プランナーズ協会『老後とお金に関する調査』第2弾
⇒ 日本年金機構『ねんきんネット』
※ともに上記ページへの「新しいタブ」が開きます。
【2】セミナーへ行ったりFPに相談するなどして、プロから情報を集める
すでに自分で、年金のことや老後資金について情報を集めている方は、テレビやインターネット、新聞や雑誌、SNSを活用しています。
もちろん上記の方法で情報収集を行うことは、年金の不安・老後資金の不安に向き合うために非常に大切なことなのですが、独自での情報収集には”質・量の限界”があると思われます。
そのため、自力での情報取集と並行して、プロからの情報収集を行うことを推奨します。
――「お金関係のセミナーに参加する」
有効策の1つは、セミナーに参加してみることです。
「年金暮らしが不安」という方に向けて様々なセミナーが開講されており、イベント集客サイト『こくちーずプロ』では、不動産投資・資産運用・節税・投資信託に関するセミナーのほか、「年金」に関するセミナーも数多く紹介されています。
「お金の仕組みとは?」という基本的な情報から提供してくれるセミナーもあるので、情報収集を始めたばかりの方は、こうしたセミナーへ足を運んでみるのもいいでしょう。
<参考リンク>
⇒ 『こくちーずプロ』年金セミナー・勉強・イベント
※上記ページへの「新しいタブ」が開きます。
――「ファイナンシャルプランナー(FP)に相談する」
お金のプロ、お金に関するライフプランの提案のプロに、ファイナンシャルプランナー(FP)という職業の方がいます。
先述した、日本ファイナンシャル・プランナーズ協会『老後とお金に関する調査』第2弾の調査結果によると、老後の生活に不安がある方もない方も含めて、FPにお金の相談をした経験がある方は全体の1割を占めました。
10人に1人はFPへの相談の経験があるということなので、決して低すぎる数字ではないような気がします。
ファイナンシャルプランナーに相談する機会ですが、保険の見直しの相談をするついでに、老後の生活資金に関する相談もしておく方が多いようです。
【3】加入している保険を見直す
ここからは、かなり具体的なアクションを取り上げていくことになります。
先ほどまでの話にも出てきましたが、自分の支出を把握したり、セミナー講師やファイナンシャルプランナーの話を聞いていると、“削ることができるかもしれない支出”として保険があることが浮かび上がってくるのではないでしょうか?
そこまでは考えが及んでいなくても、「はじめて加入した保険に今も加入し続けている」という方は、今加入している保険が自分のライフステージに合っているかどうか、プロに相談して検討する価値があります。
- 結婚のタイミング
- 子どもが生まれたらタイミング
- マイホームを購入するタイミング
- 子どもが自立したタイミング
上記4つのタイミングは、加入している保険を見直すいいチャンスだと言われています。
保険料の無駄を抑えることができるということは、そのぶんを老後の蓄えにまわすことができるということで、年金不安の対策として十分な役割を果たすと言えるでしょう。
【4】貯金とは別に余剰資金を作り、運用を行う
多くの方が、”コツコツと現金を銀行口座に貯金する”という方法で、将来に備えているのではないでしょうか。それはそれで、必要不可欠なことです。
自分や家族の病気・事故など、急にお金が必要になるケースは、老後に関わらずいつでも起こり得ます。
そうした「普通に貯金すべきお金」とは別に、「余剰資金」を持つことが、年金不安を軽減するアクションの1つです。
余剰資金は貯金でないので、”何もせずに置いておく”のではなく、”お金自身に働いて増えてもらう”ことがセオリーです。
先述した「お金に関するセミナー」に参加していると、この余剰資金を元手にした資産形成、および資産運用の話を耳にすることが多いはずです。
- 個人向け国債
- 投資信託
- 確定拠出年金 (iDeCo)
- 株式投資
- 不動産投資 …etc
上記のように、老後生活に必要な資金を作るための資産形成・運用方法は様々あります。
以下では、特に年金と関連深い「確定拠出年金 (iDeco)」について、簡単に説明しておきます。
――「確定拠出年金 (iDeco)とは?」
確定拠出年金 (iDeco・イデコ)とは、掛け金を「自分で拠出」し「自分で運用」、60歳以上で老齢給付金として「年金受取」ができる、私的年金制度のことを言います。
iDeCoを活用する最大のメリットは、税制優遇されることにあります。
- 掛金が全額所得控除される
⇒ 所得税・住民税が軽減される - 確定拠出年金制度内での運用益は非課税
- 受給時に所得控除を受けることができる
⇒ 退職所得控除、あるいは公的年金等控除の対象
こうした様々な税制優遇により、「余剰資金から、新たな余剰資金が生まれる」と言っても、過言ではないでしょう。
iDeCoは月々5,000円から始めることができ、さらに掛金額は1,000円単位で自由に設定することができるので、先述した保険の見直しなどで余剰資金が生まれていれば、そう負担のない金額だと言えます。
iDeCoは老後の生活に備えた自助努力制度として、公的にも支援されており、多くの人がiDeCoという制度を使いやすくなるように、度々法改正が行われています。
例えば平成29年1月の法改正では、専業主婦や公務員など、これまではiDeCo加入の対象外だった方々も、iDeCoに加入することができるようになりました。
- 専業主婦でも公的年金とは別に年金が作れる
- 公務員でも公的年金とは別に年金が作れる
こうした制度の変化は、老後の年金暮らしに不安を抱える方にとって、安心できる材料の1つであることに間違いはないでしょう。
<参考リンク>
⇒ iDeCo公式サイト『iDeCoってなに?』
※上記ページへの「新しいタブ」が開きます。
年金の不安を過剰に煽るセールストークには注意が必要
さて、少しお話は変わりますが、国民の年金不安が高まっているのをいいことに、それを”ダシ”にした悪徳なセールスが行われているという声があちこちで挙がっているので、皆様も注意が必要です。
例えば、老後の資産を形成する方法の1つである「不動産投資」についても、年金がどうこうと不安を煽って、強引かつ早急に契約を結ぼうとする営業マンがいるようなのです。
「年金の不安を解決できる」と言われれば、どうしても心は動いてしまいがちですが、実際に年金の不安を根本的かつ完全に解決することは不可能なわけですし、いわゆる“都合の良すぎる話”には、のらないほうが賢明です。
まとめ
- 現状の自分の収支やその内訳、年金の受取見込み額を調べる
- お金に関するセミナーに参加する
- 保険の見直しついでにファイナンシャルプランナーに相談する
- 貯金とは別に動かせるお金「余剰資金」を作る
以上、年金の不安・老後資金の不安を抱える人が試すべき4つの行動をお伝えしました。
年金の不安は、世代や実際の貯蓄額を問わず、多くの方が抱えておられる悩みです。
実際に、日本ファイナンシャル・プランナーズ協会の独自調査では、8割の人が老後の生活資金に不安を持っていると答えたというデータが出ています。
このデータがすべての判断軸ではありませんが、少なくとも「自分だけが考えすぎ?」ということはないので、その点は安心してください。
年金のことに限らず、不透明な未来のことに不安を抱えるのは、当然だと言ってもいいでしょう。
しかしここで取り上げたような、何らかのアクションを起こせば、不安要素は小さくなるかもしれません。
仮に大きな効果がないのだとしても、アクションを起こしたことで不安に向き合うスタンスが変われば、ずっと気持ちが楽になります。
「人生100年」と言われる時間をできるだけ有意義に過ごすために、くよくよしたお金の悩みは、自らの行動によりある程度は遠ざけたいものですね。
⇒ 「グランヴァンタイムズ」の他のコラムでは、さらにたくさんのお金の知識を紹介しています。
※「貯金・貯蓄・資産運用」カテゴリ一覧のページにリンクしています。
自分に合った資産運用、見つけませんか?
「資産運用を始めてみたいけど、なんだか難しそう」
「今のお金の貯め方で大丈夫だろうか。なにか始めたいものの、なにがいいかわからない」
このような思いをお持ちの方は、グランヴァンとファイナンシャルプランナーが共同制作した「人生100年時代の資産運用ガイド」をご覧ください。
▼内容の一部
- 老後に2,000万円必要って本当?
- 貯蓄型保険は危険?
- 将来のためのお金を用意する低リスクな方法は?
資産運用や老後資金のアレコレを相談形式で解説しています。主要な資産運用術について網羅的に学べるガイドです。