不動産投資として駐車場を経営する3つのデメリット | 「気楽にできる」は間違い
- 区分マンション投資
- 新築一棟マンション投資
- 戸建て投資 …etc
上記のように、不動産投資とひと口にいっても、その種類には様々あります。
さらに、不動産投資信託という手段があることを踏まえると、“不動産投資のやり方”は実に幅広いのです。
そんないくつかの不動産投資方法の中でも、「これならとりあえず自分でもできる?」と興味を持たれやすいのが、駐車場の経営。
駐車場経営に興味を持っている、不動産投資初心者は「物件と比べて管理が楽そう!」、または「資金が少なくてもできそう!」とイメージされていることが多く、そして実際にそれらのメリットは事実でもあります。
しかし駐車場の経営には、不動産投資とはまったく方向性の異なるデメリットがいくつか存在するため、「楽な不動産投資」と考えて安易に手を出してしまうことは危険です。
そこで今回は、不動産投資として駐車場経営に乗り出す前に正しく把握しておきたい、駐車場経営のデメリットをまとめました。
目次
不動産投資として駐車場経営をする3つのデメリット
- 駐車場経営は、税制上の優遇措置がかなり少ない
- 駐車場経営は収益性が低い
- 駐車場経営に適した場所選びが難しい
不動産投資として、駐車場の経営を始める場合のデメリットは、大きく分けて3つあります。
以下でそれぞれのデメリットを簡単に、説明していきましょう。
【1】駐車場経営は、税制上の優遇措置がかなり少ない
不動産投資として、駐車場経営を行うことの大きなデメリットに、“税制上の優遇措置の少なさ”が挙げられます。
さらに噛み砕いて説明するなら、「賃貸不動産投資で得られる税制上の優遇措置は、駐車場経営ではほぼ得られない」と言ってしまっても過言ではないでしょう。
- 「固定資産税」の評価が更地と同じである
- 「相続税」の評価が更地と同じである
- 「減価償却費」が少なく、所得税が増える可能性がある
このように、更地にコンクリート舗装などを施しただけの青空駐車場の場合、税制上のメリットはほとんどありません。
※一方、賃貸不動産投資の場合は、相続税および贈与税の節税効果がかなり大きく、経費が多くかかる最初の数年間だけですが、所得税および住民税を節税できます。
つまり「節税したい」あるいは「相続税対策をしたい」という目的で更地を購入し、駐車場を経営することには、あまり意味がないのです。
もっとも、区分マンション投資や新築一棟マンション投資も、節税や相続対策“だけ”を目的に行うことは推奨できないのですが、この理由について詳しく知りたい方は下記コラムを併せてご覧ください。
【2】駐車場経営は収益性が低い
先ほど、駐車場経営には”税制上の優遇措置がかなり少ない”というデメリットがあることを述べました。
これに付随して発生するデメリットは、“収益の少なさ”、言い換えると“実質的な利回りの低さ”です。
仮に月極駐車場の場合、1ヶ月の利用料金を設定するなら、地方で5,000円~1万円、都市部では1万円から3万円が相場でしょう。(東京23区・一等地内であれば、MAX5万円設定でも需要が尽きない場合もあります。)
駐車場経営にかかる初期費用を、一括で支払っているならまだいいのですが、仮にローンを組んで土地を購入・駐車場として使える状態への工事を行っている場合、税金の負担が大きいうえにローンの支払いもしなくてはいけないため、駐車場経営で得られる月々の実質的な利益は、わずかなものにしかならないのです。
それであれば不動産運用を含む各種投資信託や、積み立て系の投資などで、コツコツ利益を出していったほうが賢明かもしれません。
【3】駐車場経営に適した場所選びが難しい
さて、駐車場経営に適した場所は、一体どんな場所だと思われますか?
- 車移動が前提だから、駅から離れた場所に決まっているのでは?
- 駐車場の数が足りないから、駅に近い場所が狙い目なのでは? …etc
このように意見が割れそうですが、実はこれといった正解はありません。
駐車場経営に向いた土地は、都市部にもありますし、地方にもあります。
“どんな場所でも駐車場に向いている可能性がある”ということは、逆に“どんな場所でも駐車場に向いていない可能性がある”とも定義できます。
投資用不動産選びと比較して、投資用駐車場(の土地)選びは、意外にも難しいのです。
- 近くに大きなマンションがあるが駐車場が少ない
- 近くにオフィスビルがたくさんあるが駐車場が少ない
- 一戸建てが多いが、1台分の駐車スペースしかない
※2台目の車をを停める所がない - 付近のコインパーキングや月極駐車場の稼働率が高い
- 駐車場(予定地)への進入が容易
※道幅が広いなど - 治安が良い ……etc
上記で挙げた条件をできるだけ多く満たす場所が、駐車場を作る場所として望ましいですが、大規模マンションとオフィスビル、一戸建ての有無以外、数年以内に状況が激変する可能性が高いです。
例えば、付近に安く停められる立体駐車場ができれば、更地の駐車場の需要は一気に少なくなります。
また、車上荒らしが付近で頻発すれば、ほとぼりが冷めるか、駐車場のセキュリティ強化を行うまで、駐車場の契約を解約されたり、新規契約がつかなかったりすることが考えられます。
つまり、駐車場経営は環境変化の影響を直ちに受けやすく、「ここなら大丈夫!」と自信を持って購入した土地でも、数年の間に赤字経営に転落することが珍しくないという、大きなデメリットを抱えているのです。
駐車場経営でよく発生するトラブル
これもデメリットの1つと言えるかもしれませんが、駐車場経営には駐車場経営ならではのトラブルがあります。
- 駐車場の利用料金を滞納される
- 指定場所に駐車しないなど、不正駐車される
- 不法投棄の標的にされる
- 無断駐車される
※付近に商業施設が多い場合は特に注意が必要 - 駐車場内の事故リスクがある
- 駐車場内での犯罪リスクがある
- 騒音や排気ガスのことで苦情が入る
- 防犯の不備でクレームが入る ……etc
上記のように、駐車場オーナーを困らせるトラブルは、枚挙にいとまがないほど多いのです。
このうえさらに、稼働率が低い状態が続き赤字経営になるリスク、天災などにより駐車場が全壊・半壊するリスクなどがあることを踏まえると、駐車場の経営は決して「手軽な不動産投資」とは言い切れないことが、分かってきます。
遊休土地の活用としてなら、駐車場経営のデメリットが減る
- 駐車場経営は収益性が低い
- 駐車場経営に適した場所選びが難しい
上記2つの、不動産投資として駐車場経営を行うデメリットは、新しく土地を購入するのではなく、遊休土地を活用する場合なら、一転して少なくなります。
「遊休土地」とは、”土地取得後2年以上利用されていない土地”、特に”都道府県知事が利用を促進する必要があると認めた土地”のことを言います。
例えば、親が所有していた土地をそのまま自分が受け継いだけれど、そのまま放置している空き地などが、遊休土地に該当しているかもしれないので、知らない人は確認してみましょう。
駐車場にするための土地をすでに所有しているなら、土地の購入費用はかかりません。
コンクリート舗装や電灯の設置などの工事費用、目安として普通自動車1台分のスペースあたり10~30万円あれば、駐車場を経営できます。
10台くらい車を停められる駐車場を作るとしても、ローンを組まずに一括で払える範囲ではないでしょうか。
税制上の優遇措置が少ないことには変わりありませんが、土地を購入する資金が要らないこと、ローンを組まずに済む可能性が高いことを考えると、収益が少ないデメリットと場所選びで失敗するデメリット(そもそも場所が決まっている)が、さほどネックではなくなります。
「空き地を持て余すくらいなら、利益が出るかもしれないし駐車場にしてみようか」という計画は、なかなかいい所をついているかもしれません。
たまたま立地条件がよく、実質利回り50%くらいの利益が出たという事例もあるようです。
ただ、利用料金の滞納やクレーム対応など、先述した駐車場経営ならではのトラブルが減るわけではないので、注意しましょう。
不動産投資として駐車場を経営するデメリットの大きさは、土地を所有しているかどうかに左右される
以上、不動産投資として、駐車場経営を行うデメリットやよくあるトラブルについて、説明しました。
- 駐車場経営は、税制上の優遇措置がかなり少ない
- 駐車場経営は収益性が低い
- 駐車場経営に適した場所選びが難しい
上記3つのデメリットを考慮すると、遊休土地など、自分がもともと持っている土地を駐車場に活用するぶんにはともかく、「あえて新しい土地を購入してまで駐車場経営に挑戦する意味はあまりない」というのが結論です。
「自己資金が少ない…」という理由で駐車場経営を考えているなら、長い目で見た利益が出やすい区分マンション投資をローンを活用して行う方法や、月々1万円くらいからできる少額資産運用を始める方法にも、ぜひ注目してみてください。
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