投資信託の「アクティブ」と「パッシブ」の違い | 分散投資に向いているのはパッシブ型
- アクティブ(active) = 積極的な
- パッシブ(passive) = 受動的な
上記2つの英単語は、日本でも割と耳なじみのある言葉ですが、投資信託の運用スタイルを指す表現としても用いられています。
今回は、投資信託の”アクティブ運用”と”パッシブ運用”、それぞれの運用方法の特徴やメリット・デメリットの違い、また「分散投資にはパッシブ運用が向いている」とよく言われる理由について、簡単にまとめてみました。
目次
投資信託の「アクティブ運用」とは?
ひと言で言うと、“リスクとコストを多めにとって、大きなリターンを狙いにいくスタイル”が、投資信託における「アクティブ運用」です。
運用担当者、いわゆるファンドマネージャーが、ベンチマークという指針を上回る成果(=高い収益)を目指し、積極的に運用銘柄の売買・入替を行っていきます。
“投資のプロの観点”から市場を分析し、これから上がりそうな銘柄の推測や、下がりそうな銘柄の回避などを、能動的に行うことがアクティブ運用の特徴です。
【用語解説】ベンチマークとは?
ベンチマークとは、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)などに基づいた、市場平均のことです。
アクティブ型投資信託の2つのメリット
- 見込み通りにマーケットが上昇すれば大きなリターンを得られる
- 相場下落時に備えたリスクヘッジを行ってくれる
腕のいいファンドマネージャー、あるいはチームとパートナーを組めば、投資家はアクティブ型の投資信託で多くのメリットを得られます。
以下で、その代表的な2例をご紹介しましょう。
1.見込み通りにマーケットが上昇すれば大きなリターンを得られる
先述したようにアクティブ型では、ファンドマネージャーはベンチマークを上回ることを目標に、銘柄の運用を行います。
「上がるかも」と思った銘柄には、大きく勝負に出るというイメージです。
その見込み通りにマーケットが上昇した場合、市場のインデックスを大きく上回るリターンが期待できます。
2.相場下落時に備えたリスクヘッジを行ってくれる
アクティブ型の投資信託では、大きなリターンを狙っている以上、一定の損失リスクとは向き合わなくてはいけません。
ただ、もしも相場の下落があったとしても、投資家の資産に大きな打撃を与えないように、できるだけの対策は行うようにしているファンドマネージャーが多いです。
例えば、“下落の可能性が出てきたとき、ファンド内の現金の比率を高めておく”など、投資家からの信用・信頼のために、臨機応変かつすみやかに動きます。
そうした、「相場の下落対策能力」が高いファンドマネージャーのもとでは、相場が大きく下落した場合でも、下落幅をできるだけ抑えるためのリスクヘッジができるでしょう。
アクティブ型投資信託の2つのデメリット
- 運用コストが高い
- 運用実績がファンドマネージャーの手腕に大きく左右される
以下では、アクティブ型投資信託に見られる、主な2つのデメリットを簡単に解説しました。
1.運用コストが高い
アクティブ型投資信託では、市場分析や銘柄調査にファンドマネージャーの工数を割くため、販売手数料や信託報酬からなる運用コストが、対照のパッシブ型投資信託と比較して、やや高い傾向があります。
2.運用実績がファンドマネージャーの手腕に大きく左右される
良くも悪くも、アクティブ型運用の実績は、ファンドマネージャーの手腕に大きく左右されます。
先ほど、アクティブ運用のメリットの項目でも取り上げたように、「もしもの下落時に備えたリスクヘッジまで可能」な優れたファンドマネージャーもいれば、そうでないファンドマネージャーもいるという訳です。
- リスクの高さに対して得られるリターンが割に合わない
- 有効な銘柄選択が得意ではない
- 短期的な利益を得ることに長けているが、継続的な利益を出すのは苦手
- “もしもの下落”のリスクヘッジの不足 ……etc
上記のように、投資信託のプロであるファンドマネージャーにも、不得意としている領域があることは十分考えられますし、実力に申し分がなくても運用の方針が投資家自身と違えば、思っているような資産形成の仕方はできないかもしれません。
投資信託の「パッシブ運用」とは?
ひと言で言うと、“リスクとコストを抑えるために、主要インデックスの値動きに連動する運用成果を目指すスタイル”が、投資信託における「パッシブ運用」です。
パッシブ運用は「インデックス(型)運用」とも別称され、株価指数の利回りが3%なら3%の運用成績を、4%なら4%の運用成績を、手堅く狙っていきます。
アクティブ型の投資信託に見られる、能動的な投資計画の立案・投資銘柄の選定をせず、いわば機械的に運用を続けることが、パッシブ運用の大きな特徴です。
パッシブ型投資信託の3つのメリット
- 運用コストが安い
- 素人目にも運用状況が分かりやすい
- 運用実績がファンドマネージャーの手腕に大きく左右されない
アクティブ型の投資信託と比べて、リスク・コスト、そしてリターンも控えめなパッシブ型投資信託。
その特性によって得られる、パッシブ運用ならではの主要メリットを3つ、ご紹介します。
1.運用コストが安い
先述したようにパッシブ運用では、ファンドマネージャーが細かく戦略を立てたり、銘柄の調査をすることがありません。
想像に難くありませんが、アクティブ運用と比較すると、パッシブ運用のほうが人的コストが少ないため、その分販売手数料や信託報酬(=運用コスト)が安いというメリットがあります。
投資信託における”初期費用”的な位置づけの、販売手数料が0円の「ノーロードファンド」も、パッシブ運用ではよく見られます。
こうした運用コストの安さは、「分散投資にはパッシブ運用がオススメ」とよく言われる理由にも関係してくるのですが、そちらについては後ほど項を改めてご説明しましょう。
2.素人目にも運用状況が分かりやすい
パッシブ型の運用手法は、実にシンプル。ベンチマークである主要インデックスの動きに、運用状況を合わせているからです。
投資家に投資信託のノウハウがなくても、日経平均株価やTOPIXをチェックしていれば、だいたいの運用状況は推測することができます。
現状のリスク・リターンを可視化できる”透明性”を持つことが、パッシブ型投資信託が評価されている大きな一因だと言えるでしょう。
3.運用実績がファンドマネージャーの手腕に大きく左右されない
パッシブ運用には、ファンドマネージャーの実力(得意・不得意の領域)や運用方針が、運用実績にほとんど関与しません。
アクティブ運用におけるデメリットでもある、“ファンドマネージャーの手腕次第”という状況から発するリスクを、”機械的なパッシブ運用”では避けることができます。
パッシブ型投資信託の3つのデメリット
- 市場価格全体の下落の影響を受けやすい
- 期待以上のリターンが出にくい
- 平均値を目指すゆえに投資の面白みを感じにくい
以下では、インデックスに連動させる受動的な投資信託の手法、「パッシブ型」だからこそ見られてしまう、3つのデメリットについて説明します。
1.市場価格全体の下落の影響を受けやすい
投資信託のパッシブ運用は、市場価格全体に合わせて進められます。
上昇傾向であればいいですが、もしも“市場価格全体が下落”した場合に、その下落の影響を受けやすいのがパッシブ型運用なのです。
アクティブ運用とは違いパッシブ運用では、ファンドマネージャーの精査あってこそできる、下落に備えた戦略的リスクヘッジができません。
2.期待以上のリターンが出にくい
パッシブ運用では予測できる範囲の、言い換えると”期待通り”のリターンを、手堅く狙っていきます。
主要インデックスの動きに沿った運用をするため、“期待・目論見以上”のハイリターンが生まれる可能性は少ないです。
3.平均値を目指すゆえに投資の面白みを感じにくい
先述したパッシブ運用のデメリット、「2.期待以上のリターンが出にくい」と関与するもう1つのデメリットに、「”平均値”を目指すゆえに投資の面白みを感じにくい」という点が挙げられます。
どの銘柄を選んでも、指標であるベンチマークが同じである限り、運用成果に大きな違いは出ません。
“ないものねだり”かもしれませんが、機械的・平均的に運用するがゆえに「単調でつまらない」と感じる人も少なくないでしょう。
また、アクティブと比較した時の、パッシブ型ファンド数の少なさ=選択肢の少なさも、投資信託の面白みを感じにくい一因かもしれません。
【意外?】コストをかけるアクティブ運用のほうが有利かと思えば、実はそうではない
ここまで述べてきた、アクティブ運用とパッシブ運用が持つメリット・デメリットの一部を拾うと、「アクティブ型投資信託はファンドマネージャーが手間(コスト)をかけて運用する、パッシブ運用はインデックスに沿って手間をかけずに運用する」と、まとめることができます。
この点を踏まえると、「コストをかけて運用するアクティブ型のほうが、そうでないパッシブ型より成功率が高いのでは?」と思うかもしれませんが、「一概にそうとは言えない」ということが、投資信託に長く取り組む人に多い意見です。
なかには、「パッシブ運用のほうが、平均的に見れば成績がよい」と明言している人もいます。
ここではアクティブ運用とパッシブ運用、どちらが有利でどちらが不利と判断しかねますが、少なくとも、“コストの大小と運用成績はさほど関係なく、パッシブ運用とアクティブ運用は、きちんと肩を並べて比較できる立ち位置にはある”とは言えそうです。
「分散投資」をするならパッシブ運用がオススメな理由
堅実的な資産形成を行うため、複数の資産運用方法を実行する「分散投資」という考え方が、メジャーになりつつあります。
投資信託においては、“運用コストが安い”という観点から、パッシブ運用のほうが分散投資に向いています。
パッシブ型の運用コストの安さで浮かせた余剰資金を、別の少額資産運用にまわせるため、都合がいいわけですね。
また資産運用初心者が、資産形成の感覚を”まずは”掴むためにも、ローリスク・ローコストのパッシブ型投資信託は、かなり有効な手段です。
【パッシブ型投資信託と一緒に行う、少額資産運用方法の例】
- 現預金
- 株式取引
- 債券取引
- 不動産投資 ……etc
リスクを分散させるためには、利益が出る仕組みが全く異なる金融商品を選ぶことがポイントです。
少額投資非課税制度「NISA(ニーサ)」や、個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」なども、併せてチェックしてみましょう。
まとめ
投資信託の運用スタイル | メリット | デメリット |
---|---|---|
アクティブ運用 | ・ハイリターンを狙える ・下落幅を抑える対策が可能 |
・運用コストが割高 ・ファンドマネージャーの手腕に 運用実績が左右される |
パッシブ運用 | ・運用コストが割安 ・運用状況が分かりやすい ・ファンドマネージャーの手腕に 運用実績が左右されない |
・市場全体の下落の影響を受ける ・ハイリターンを狙えない ・単調で面白みに欠ける |
⇒ 分散投資をするなら、パッシブ運用のほうがオススメ
以上、アクティブ型投資信託、およびパッシブ型投資信託の違いについて、解説しました。
どちらかの方法が特別に秀でているということはないので、自分の資産形成プランや、「どんなふうに利益を出せたら嬉しいか?」を考慮して、合う運用スタイルを選べばOKです。
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