大家が甘くみてはいけない家賃滞納リスク | 深刻化を防ぐためにできること
家賃滞納リスクが“まったく”ない不動産投資は存在しません。
自分の身に明日、何があるのか分からないように、入居者にも何があるのか分からないのです。
この記事は「家賃を滞納されるリスクが怖くて不動産投資を始められない人」、「今現在たまにある家賃滞納を深刻化させたくない大家」、そして「自分ができる範囲で不動産投資における家賃滞納リスクを抑えたい人」に向けた情報をまとめています。
目次
“家賃滞納”という事象が引き起こす不動産投資のリスク
まずは家賃滞納がどの程度、不動産投資・運用のリスクになっているのか、まだハッキリと分かっていない人向けに説明しておきましょう。
仮に、区分マンション1室で家賃滞納が起こった場合、投資用不動産が満室であるのに関わらず、(その部屋からの)家賃収入がゼロになるという、チグハグな状況に陥ってしまいます。
一棟マンション経営においては、他の部屋の人が家賃を払ってくれれば、家賃収入がゼロになるということはありませんが、家賃滞納者が複数人でてくる可能性を考慮すると、やはりその影響は看過できないものと言えます。
家賃滞納により、“回収できる家賃がゼロになる、または想定より大幅に減る”と、
- 投資用不動産購入時に組んだローンの返済が苦しくなったり……
- 長い目で計画していた不動産の運用プランが崩れたり……
- 急に多額の修繕・修理費用が必要になった際に資金が足りなかったり……
上記のような、様々なリスクが同時発生してしまうでしょう。
そのため決して、家賃滞納の問題を甘く考えてはいけないのです。家賃滞納を甘く考えてしまうと、追々自分の手には負えないほど深刻化するかもしれません。
家賃滞納トラブルが深刻化すると大家は「とにかく大変」
不動産投資・運用において、現状の日本は海外と比較して“オーナー権限が弱い”という特徴があります。
以下のコラムでは、そのあたりの情報をさらに展開してありますので、詳しく知りたい人はぜひ併せてご覧ください。
要は漫画やドラマのように、「明日までに荷物をまとめて出てもらいますからね!」と強い手段にでることは、現実ではほとんど不可能でしょう。
ひと言で言うと、深刻化した家賃滞納トラブルへの対応は「とにかく大変」なのですが、具体的にどう大変で、どう多くの大家の頭を悩ませているのか、以下でその例を挙げてみました。
- 強制退去や契約解除までの手順が多く、時間もかかる
- 督促をする大家側が遵守しなくてはいけないルールが多い
- 家賃滞納額が大きい場合、全額回収できるか分からない
【1】強制退去や契約解除までの手順が多く、時間もかかる
家賃滞納者に対し、部屋を強制的に明け渡してもらう強制執行に至るまでには、以下のような手順を踏む必要(※1)があります。
※1 この背景は、日本の借地借家法に基づき入居者の権利が手厚く守られていることが大きいです。
- 手紙・電話・メールなど通常の連絡手段で、家賃の支払い催促をする
- 内容証明郵便を使った督促状の送付
- 「○○日までに必ず支払う」という内容の支払約定書の作成・送付
⇒ 入居者から「支払い猶予が欲しい」と言われた時などの対応 - 法に基づく賃貸契約の解除
⇒ 内容証明郵便での内容を何度も破るなど「信頼関係の破たん」が争点 - 部屋を出ない入居者に対して明渡請求訴訟
- 強制執行
「【1】通常の連絡手段での支払い催促」から「【4】賃貸契約解除」までの過程だけでも、大家にとってはかなりの労力です。
法に基づく賃貸契約の解除をするには、1度や2度の家賃滞納では認められないことが多く、内容証明郵便などにより、“繰り返し大家自身が家賃の支払い催促を行った”という事実的証拠を揃える必要があります。
「信頼関係の破たん」が契約解除や強制執行(督促・明渡など)の争点になりますが、“何があれば信頼関係が破たんしたことになるのか?”、明確な基準があるわけではありません。
また、「生活が苦しく家賃を支払いたくても支払えない」など、入居者の事情によっては、半年以上の家賃滞納があっても、法的な強制手段が認められないケースもあるようです。
先述したように、「明日までに荷物をまとめて退去してくださいね!」というような、早急な解決は望めないことが分かります。
【2】督促をする大家側が遵守しなくてはいけないルールが多い
「とにかく訴訟を起こせば、解決するだろう」というわけにもいかないのが、深刻化した家賃滞納トラブルの難しいところです。以下の項目をご覧ください。
- 連帯保証人以外の第三者への督促
- 入居者の勤務先に電話・訪問しての督促
- 入居者から「帰って」と言われても「払うまで帰らない」と居座る
- 同じ日に何度も督促を行う
- 夜間~早朝の間に督促を行う
※午後21時~午前8時の間 - ドアのカギを交換する
- 勝手に部屋に入る
- ドアやポストなどに家賃滞納の事実が分かる紙を貼る
これらは、家賃滞納者へ家賃の督促を行うにあたって、大家がしてはいけないNG行為です。モラル云々ではなく、法的に禁じられています。
どれか1つでも禁止事項に抵触する督促行為を行った場合、仮に訴訟を起こしたとしても、家賃滞納者から「大家の督促に法的な問題があった」ことを逆手に取られ、裁判が一気に不利になってしまう可能性があります。
法に基づく強制執行を行うために、大家自身も多くの督促ルールを守り、慎重に行動しなければいけないのはかなり気が重たいです。
【3】家賃滞納額が大きい場合、全額回収できるか分からない
大家にとってのベストは、おそらく「未払いの家賃を全額回収して、速やかに退去もしてもらう」ことでしょうが、支払い能力がない家賃滞納者の場合、未払いの家賃を全額回収できないかもしれません。
その可能性は、家賃滞納期間が長く、家賃滞納額が大きいほど高くなります。
「今月末までに30万円払って!」と「今月末までに300万円払って!」では、大きな差がありますよね。
また、家賃には借金に対するものと同じ時効が適用されてしまいます。その時効は5年です。
時効の中断(時効阻止)など、大家が起こせるアクションもあるにはありますが、家賃滞納者に消滅時効を主張された場合、時効を超えたぶんの家賃回収は諦めなくてはいけない可能性が高いのです。
【民法第169条】
年又はこれより短い時期によって定めた金銭その他の物の給付を目的とする債権は、五年間行使しないときは、消滅する。
――引用:Wikibooks「民法第169条」※2019年12月現在
家賃滞納リスクを遠ざけるために大家が改善・工夫できること
家賃を払うのは、あくまで“入居者自身(あるいは連帯保証人)”ですから、家賃滞納のリスクを完全にコントロールすることはできません。
しかし家賃滞納トラブルをできるだけ防ぐため、あるいは深刻化しないようにするために、いち大家として改善・工夫できることは多くあるはず。
以下、大家が家賃滞納リスクに備えてできることの例を、いくつか挙げてみました。
- 家賃回収方法を振り込み以外にする
- 支払い状況をマメにチェックし、数ヶ月分まとめての督促がないようにする
- 入居時審査で家賃と入居希望者の収入のバランスをきちんとみる
- 家賃滞納に関する失敗談を多く読む
【1】家賃回収方法を振り込み以外にする
家賃の回収方法を“期日までの振り込み”にしていて、支払い忘れの入居者が多くて困っている場合。
振り込みではなく“自動引き落とし”にしたり、昔ながらの“手渡し”にすることで、家賃滞納リスクを抑えられる可能性があります。
【2】支払い状況をマメにチェックし、数ヶ月分まとめての督促がないようにする
複数の投資用不動産を自己管理している大家や、仕事が忙しくて投資用不動産の管理に手が回りにくい大家は、入居者からの家賃の支払い状況の確認が遅くなりがち。
「そういえば家賃収入どうなってるかな?」と通帳を確認して初めて、特定の入居者の数ヶ月分の滞納に気付くことがあります。
そこまで長く支払いを忘れ続ける入居者も入居者ですが(もしかすると、故意かもしれません)、急に数ヶ月分の家賃を請求したところで、入居者が対応できない可能性が濃厚。
大家はちゃんと毎月家賃の入金状況をチェックし、滞納の事実をなるべく早く入居者に伝える配慮が必要でしょう。
【3】入居前審査で家賃と入居希望者の収入のバランスをきちんとみる
根本的な家賃滞納リスクの回避方法として、“家賃滞納しそうな人を入居させない”という方法があります。
もちろん、「絶対家賃を滞納しない人」「絶対家賃を滞納する人」を判別することは不可能ですが、入居前の審査の段階で、ある程度の予防線は張れるはずです。
例えば、家賃の1.5倍しか毎月の収入がない人。
「月収とは別の収入(変額)が毎月あります」と主張したとしても、「臨時収入が途絶えた時、大丈夫かな?」「何か急にお金が要り様になる出来事があった時、家賃を払えなくなるんじゃないかな?」と危惧する必要はあり、時には“いい人そう”でもお断りをしなくてはいけません。
【4】家賃滞納に関する失敗談を多く読む
家賃滞納トラブルは、ケースバイケース。判例にもかなりバラつきがあることが考えられます。
家賃滞納トラブルに対応していく“手順”はそう大きく変わりませんが、それ以外の細部はマニュアル的に対応することが難しいです。
どんな家賃滞納トラブルが起こっても、できるだけ適切に対処できるように心構えをしておきたいなら、ケースバイケースであるトラブル例を、たくさん知っておくに越したことはないと思います。
大家のブログなどで、家賃滞納トラブルの実体験が書かれていることがよくあります。
「家賃滞納トラブルにどんなバリエーションがあるのか?」を知る、良い参考資料となるでしょう。
まとめ
以上、堅実な不動産投資を続けていくにあたって、大家が絶対に甘くみてはいけない家賃滞納リスクの存在、そしてそれに対して大家ができることについてまとめました。
- 家賃滞納に早く気付くこと
- 家賃督促から強制執行に至るまでの正しい知識を身に着けること
上記2つの事項は、家賃滞納のトラブルを深刻化させないための基本の「き」。
逆に言えば、これだけでも意識をしっかり向けることができれば、不動産投資が含有する家賃滞納リスクは、そう大きな脅威ではありません。
優良な不動産管理会社や、評判の良い弁護士などを頼りにもしつつ、いち大家としてできるリスクヘッジを怠らなければ、“不動産投資の成功”への地盤は次第に固まっていくでしょう。
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