デッドクロスとは?不動産投資で失敗しないために原因と回避法を解説

破綻イメージ

不動産投資について勉強していく中でデッドクロスという言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

「デッドクロス」とは、ローンの元金返済額が減価償却費を上回ってしまう状態のことで、赤字で運用している状態です。デッドクロスについて正しく理解しておかないと、損をしている状態で不動産投資を始めてしまう場合があります。

そこで本記事では、不動産投資初心者向けに、(不動産投資における)デッドクロスの概念発生原因デッドクロスの回避策などを解説していきます。

不動産投資のデッドクロスとは?

デッドクロスとは、ローンの元金返済額が減価償却費を上回ってしまうことを指します。

もう少し分かりやすく言うなら、“帳簿のうえでは黒字運用できているのに、その黒字に課せられる税によって赤字運用になっている状態”です。

元金返済額とは、金融機関からの融資金のこと。そして減価償却費とは、不動産取得時に一括して経費計上されず、数年に分けて計上する経費をいいます。

不動産は物件の耐用年数などによって、経費計上できる期間が異なります。一定年数を過ぎると減価償却費用を計上できなくなるので、毎月の収入はほとんど変わらないのに、帳簿上の利益額が急増して納税額が増えてしまうのです。その結果、デッドクロスに陥ります。

不動産投資でデッドクロスに陥ると、最悪の場合黒字破産してしまうことがあります。

不動産投資でデッドクロスに陥る主な3つの原因

疑問

不動産投資でデッドクロスが発生する原因とはどのようなものか。主に下記3つの原因を取り上げて解説します。

  1. 不動産の減価償却が進み、減価償却費が減って経費計上できなくなるから
  2. 借入金返済の中で、経費にすることが可能な金利返済の割合が減少するから
  3. 築年数が経つことで家賃収入が減るから

【1】不動産の償却が進み、減価償却費が減って経費計上できなくなるから

減価償却費が減ることで経費計上できなくなり、デッドクロスに陥ることがあります。

減価償却には「定額法」「定率法」、これら2つの方法があります。

定額法とはその名の通り、毎年同じ額を定額で計上すること。定率法は不動産購入初期に多額の減価償却をし、年数が経つにつれて減らしていく方法です。

定額法は一定に減価償却できますが、定率法は減価償却できる割合が次第に減っていきます

つまり運用初期は、減価償却を多く計上でき余裕を持って運用していたものの、後半になるにつれて減価償却費が減り、税金負担が大きくなってしまうのです。

その結果、デッドクロスに陥ることがあります。

また、建物の減価償却期間はあらかじめ決まっているので、その期間を過ぎてしまうと経費計上できなくなります。

新築の物件で減価償却できる耐用年数は以下の通りです。

  • 鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造:47年
  • 鉄骨造:34年
  • 軽量鉄骨造:19年
  • 木造:22年

中古で購入した物件が耐用年数を一定期間経過している場合は「(法定耐用年数経過年数)+経過年数×20%」で減価償却期間を計算します。

中古で購入した物件が耐用年を超えてしまっている場合は「法定耐用年数×20%」で減価償却期間を計算しますので、築古物件でも少しの期間は経費計上可能です。

中古で購入する場合は、法定耐用年数が短くなり、デッドクロスに陥りやすいので注意しましょう。

【2】借入金返済の中で、経費にすることが可能な金利返済の割合が減少する

経費

不動産投資ローンのうち、経費にできる金利返済の割合が減ることもデッドクロスの原因の1つです。

借入金返済(ローン返済)を行うにあたり、必要経費にできる部分は利息部分のみ。借入金はあくまで借金であり、これを必要経費に入れることはできません。

ローン返済には毎月の返済額が一定の「元利均等返済」と、毎月の返済額に対して元金のみが一定となる「元金均等返済」があります。どちらの方法を取るにせよ、利息部分は年々減少します。

減価償却費の減少と同時に金利返済割合が減る場合には、デッドクロスのリスクが発生しやすいと言えるでしょう。

【3】築年数が経つことで家賃収入が減る

不動産物件は、築年数が経過するとともに資産価値が下がります。

一般的には築年数が経つほど入居者が入りにくくなり、適切に補修・修繕工事を行っているとしても、新築時よりは家賃を下げざるを得ないケースは多いです。

結果的に家賃収入が減ることで、デッドクロスに陥ることがあります。

不動産投資のデッドクロスを回避する4つの方法

リスク回避

  1. 返済方法として「元金均等返済」を選択
  2. 自己資金をなるべく多く入れる
  3. 減価償却可能な期間が短い物件は購入しない
  4. 念入りにシミュレーションを行う

デッドクロスを回避する方法として、上記4つの方法を紹介します。続く項目で、それぞれ詳しく見ていきましょう。

【1】返済方法として「元金均等返済」を選択

日本のローン返済事情としては、元利均等返済が一般的です。

元利均等返済は、初期は利息部分が大きく経費割合が増えますが、後半になるにつれ利息部分が減り元金割合が増えます。

経費計上できる利息が減り、経費計上できない元金が増えるため負担は多くなります。

そこで、元金均等返済を選択するのです。

利息部分は減っていくものの元金返済額が変動しないため、元利均等返済に比べデッドクロスが起こる可能性は低く、支払いは安定します。

【2】自己資金をなるべく多く入れる

自己資金

頭金など、投入する自己資金をなるべく増やすことで、借入額を減らすことが可能です。

借入額が減れば月々の返済が減る、あるいは借入期間が短縮されるため、デッドクロスになりにくい状態で不動産投資を進められます。

【3】減価償却可能な期間が短い物件は購入しない

購入費用が抑えられる中古物件ですが、新築に比べ減価償却できる期間が短いというデメリットもあります。

先の『デッドクロスの主な3つの原因』の項目でも述べたように、減価償却できる期間が短いぶん、デッドクロスに陥る可能性は高いといえるでしょう。

そのため、そもそも築年数の経った中古物件を購入しないという方針が、デッドクロス回避の観点からは的確です。

【4】念入りにシミュレーションを行う

デッドクロスが発生するかどうか、念入りにシミュレーションをしましょう。

物件購入前に減価償却期間は把握できるので、家賃や金利の変動などを加味して複数のパターンでシミュレーションを行えます。理想的な状態だけでなく、最悪のパターンなどを想定してシミュレーションを行っておくと、実際に家賃相場が下がってしまった時なども対応しやすいでしょう。

簡単なシミュレーションをしてみましょう。

 

年間家賃収入が150万円、耐用年数が10年×120万円、毎年120万円のローン返済、所得税率20%の場合を考えていきます。

元利均等返済を想定しているため、減価償却中の年間利息金額を72万円(月6万円)、減価償却期間終了後の年間利息金額を36万円(月3万円)とします*。

*利息分等は毎年変動しますが、こちらのシミュレーションでは簡略化するために固定しています。物件の購入を検討される際は、再度シミュレーションを行ってみてください。

【減価償却期間中】

  • 利益:150万円 − 120万円(減価償却費)− 72万円(利息)=− 42万円
  • 所得税:0円
  • キャッシュフロー:150万円(売上) − 120万円(ローン返済) − 0円(所得税) = 30万円

【減価償却期間終了後】

  • 利益:150万円 − 36万円(利息)=− 114万円
  • 所得税:114万円 × 20% = 22.8万円
  • キャッシュフロー:150万円(売上)−120万円(ローン返済)−22.8万(所得税)=7.2万円

 

もし、年間の家賃収入が130万円になった場合は、以下のようになります。

【減価償却期間中】

  • 利益:130万円 − 120万円(減価償却費) − 72万円(利息) =−62万円
  • 所得税:0円
  • キャッシュフロー:130万円(売上) − 120万円(ローン返済) − 0円(所得税) = 10万円

【減価償却期間終了後】

  • 利益:130万円− 36万円(利息)=94万円
  • 所得税:94万円 × 20% = 18.8万円
  • キャッシュフロー:130万円(売上) − 120万円(ローン返済) − 18.8万(所得税) = −8.8万円

このように、家賃が変動するとキャッシュフローが大幅に前後します。様々な状況を考慮し利益がしっかり出るかどうか事前に確認した上で、投資するか判断することをオススメします。

シミュレーションを行いたいのであれば当社「グランヴァン」へご相談ください。不動産投資の専門家であるスタッフがお客様の不動産投資をサポートさせて頂きます。シミュレーションだけでなく、物件選びなどの質問にもお答えいたします。

不動産投資で気になる点がありましたら、グランヴァンまでお問い合わせください。

デッドクロスを回避するために勉強すべきこと

デッドクロスを回避したいのであれば、以下のような内容を勉強したり、調べたりすることをオススメします。

  • 不動産投資の種類
  • 不動産運用の方法
  • 現地調査の方法
  • 融資・税金などお金周りの知識

購入前に不動産投資の正しい知識を身につけておくことで、優良な物件を購入することができるでしょう。また、悪質な物件を買わされてしまう不動産投資詐欺を見抜くこともできます。

実際に投資をしている人にヒアリングしたり、不動産セミナーなどに参加したりして最新の情報を収集することも大切です。不動産に関する情報を積極的に集め、投資を成功に導きましょう。

不動産投資に関する最新情報を知りたいのであれば、当社「グランヴァン」が開催している無料の不動産投資セミナーへお越しください。初心者の方に向けて不動産投資を分かりやすく解説しています。

セミナーでは不動産投資に関する質問も受け付けておりますので、お気軽にご参加ください。

不動産投資の勉強方法について詳しく知りたい方は「不動産投資の勉強方法 | 進め方と初心者がおさえるべき内容」で解説していますので、併せてご覧ください。

デッドクロスになってしまった場合の3つの対処法

デッドクロスになってしまった場合の対処法は以下の3つになりますので、それぞれ解説していきます。

  • 不動産を売却する
  • 減価償却期間が長い不動産を追加で購入する
  • ローンの借り換えをする

【1】不動産を売却する

デッドクロスになってしまった場合、売却して不動産を現金化することを検討しましょう。地価の変動などによって価値が上々し、借り入れた金額よりも高い金額で売却できれば、不動産投資として成功したと言えるでしょう。

売却する際は、譲渡所得にかかる所得税や住民税、仲介手数料などが発生します。どれくらいの料金がかかるか確認した上で進めましょう。

築古の物件で投資を始めるのであれば、売却を考えて出口戦略を練りながら投資を進めることをオススメします。

不動産の売却について詳しく知りたい方は「ローン残債があっても不動産投資の物件は売却できる?| 売却の注意点やタイミングの考え方」で解説していますので、併せてご覧ください。

【2】減価償却期間が長い不動産を追加で購入する

新築などの減価償却期間が長い物件を追加で購入することで、デッドクロスになった場合でも対処できます。経費計上できる金額が増えるので、利益を圧縮でき、節税することが可能です。

ただ、闇雲に物件を買えば良いわけではないので注意が必要です。新規で物件を買うとなると、まとまったお金を用意しなくてはなりません。融資を引いたとしても、返済金額が増えてしまうことに変わりはないので、計画を立ててから購入を検討しましょう。

【3】融資の借り換えをする

借り入れている融資金を金利の低いところへ借り換えることで、デッドクロスを対処できます。返済する総金額を減らすことでキャッシュフローが良くなり、デッドクロスの回避に繋げることが可能です。

また、返済期間が長いものに借り換えてもキャッシュフローは良くなりやすいですが、将来的に返済する期間が増えるというリスクがあるので、注意が必要です。デッドクロスを回避できるかシミュレーションした上で、借り換えを検討しましょう。

まとめ

納得イメージ

もしも不動産投資でデッドクロスに陥ってしまえば、借入期間を延長したり、余裕のない状況から繰り上げ返済をしたりと、当初の計画よりも厳しいキャッシュフローとなります

不動産投資初心者は、デッドクロスに陥る原因と回避するための方法を今一度確認した上で、計画を立てるようにしましょう。

なお、綿密なシミュレーションを行うにあたり専門家のサポートや予備知識は必要不可欠。まずは不動産投資に関して、さらなる知識を増やしていきましょう。

⇒ 『グランヴァンタイム』の不動産投資初心者向けコラムをもっと読む

知人におすすめしたいNo.1不動産投資会社(*1)が教える「オンラインマンション経営セミナー」

不動産投資CTA_比較検討

不動産投資の成功には、信頼できるパートナーの存在が必要不可欠です。

もしも今「不動産投資をはじめてみたいけど不安だ......」そうお考えの方がいらっしゃいましたら、グランヴァンが開催する「不動産投資セミナー」へ参加してみませんか?私たちは、お客様のサポートを追求してきた結果2016年に「紹介営業100%達成企業」(※2)となり、2019年から4年連続知人におすすめしたい不動産投資会社No.1(※1)に選ばれています。

セミナーでは、

  • そもそも不動産投資ってどんなもの?
  • マンション経営の落とし穴とは?
  • 投資を成功させる上で押さえるべきポイントは?

など、不動産投資のプロとして約20年以上蓄積してきたノウハウを惜しみなく提供していきます。セミナーは無料でオンラインなので全国どこからでもお気軽にご参加いただけます。未来のお金を作るための一歩を踏み出しましょう。

セミナーの詳細を見る

*1 日本マーケティングリサーチ機構調べ 調査概要:2022年2月期_サイトイメージ調査 *2「新たにご購入いただく方が、既存のオーナー様・知人の方からの紹介、もしくは知人の方」を紹介営業と定義しています。2016年6月~2019年6月に100%を達成

関連記事