太陽光発電ファンドの仕組みを解説!今後の投資としての将来性・選び方も
「ファンド」とは、資産運用のための金融商品のことです。不動産投資ファンドや商品ファンドなど、様々なファンドがありますが、「太陽光発電ファンド」というものがあるのを御存知でしょうか。
太陽光発電ファンドとは、投資用太陽光発電設備の発電・売電事業に対して企業が投資のための会社を設立して投資家を募集するもので、売電収入から出資者に分配金が支払われます。いわば、「太陽光発電の投資信託」です。
以前、太陽光発電投資のお話をしましたが、事業者として行なう場合には、土地付きの太陽光発電所を自分で建設、購入するなりして所有する必要がありました。そのため、初期費用がおおよそ2,000万以上と高額になることがネックでした。
太陽光発電ファンドでは、その初期費用を出資者で分配できるので、なんと、一口10万円など少額でも投資に参加できるのがメリットです。
ただ、FIT法で売電単価が年々下がっていく中で「太陽光発電ファンド」は投資として将来性はあるのでしょうか?
この記事では「太陽光発電ファンド」について解説し、今後の投資方法としてまだ有効なのか、将来性があるのかを考察していきたいと思います。
目次
「太陽光発電ファンド」とはいったいどういう仕組みなのか?ベネフィット・リスクを整理
それでは、太陽光発電ファンドとはどのような仕組みで、利益やリスクはどのようなところにあるのでしょうか。
太陽光発電投資のおさらい
まず、太陽光発電投資のビジネスモデルを思い出してください。
2012年から始まった「固定価格買取制度」で、太陽光発電で発電した電力を20年間同じ単価で電力会社に売ることが可能になりました。買取には、
- 屋根で発電、家で使用した余りの電力を買取に出す「余剰買取」
- 空いた土地に太陽光パネルを設置、その発電した電力を全て買取に出す「全量買取」
と、2つの買取方法があり、投資としての太陽光発電には2番の「全量買取制度」を使います。
つまり、簡単にモデル化すると、
「空いた土地」に、「太陽光発電パネルを設置」し、「そこで発電した電力を全て電力会社に20年間同じ単価で買い取ってもらい」、「そのお金を得る」というビジネスモデルが、太陽光発電投資のモデルになります。
太陽光発電投資の初期費用は莫大な額
投資の利回りを算出するためには初期費用の算出が必須です。太陽光発電投資の初期費用は以下の要素の合計で算出されます。
- 土地の取得費(自分の土地なら無料)
- 太陽光発電パネル、パワーコンディショナー、ケーブル、架台、フェンスなどの設備費
- 設計や業者のサービス料金
- 連系負担金(電力会社に支払い)
- 工事費(基礎工事含む)
- メンテナンス・保険費用
例えば、単純な計算モデルだと、500坪くらいの遊休地購入で年間売電収入が220万円くらいの太陽光発電所を作る場合には、これらの費用を合計すると、2,200万円程度の初期費用がかかります。
単純計算で投資回収するのに10年、残り10年が丸々利益になり、トータルで10%ほどの利回りになります。
土地の広さにもよりますが、標準的な太陽光発電所を作る、となると1,000万~2,000万円、それより大きいものを作ろうと思うとそれ以上の初期投資額がかかってきます。
「初期費用の高さ」というハードルに有効な太陽光発電ファンドの仕組み
このような初期費用の高さで太陽光発電投資を踏みとどまってしまう方にとって、太陽光発電ファンドは手軽に太陽光発電投資が出来る方法として有効です。
太陽光発電投資の初期費用をファンドで個人から集め、その資金を使い売電事業のためだけの太陽光発電事業を行ない、そのリターンを出資者に還元するしくみです。
(太陽光発電ファンドの代表的な仕組み)
- 出資者がファンドの営業者に出資をする
- ファンドの営業者が太陽光発電事業の運営・電力会社に売電をする
- 売電収入をファンドの営業者に支払う
- 出資者の投資金額の配分に応じて分配金を支払う
という流れになります。実務の部分をファンドの営業者に全てお任せできるところも、取り組みやすい部分です。
太陽光発電ファンドの4つのベネフィット
太陽光発電ファンドのベネフィットは主に以下の4つです。
- 資金が少なくても投資ができる・・一口10万円ほどの低額から出資できることが魅力です。また資金が比較的ある場合でも複数の太陽光発電プロジェクトに分けて投資することができることでリスクを細分化することができることも魅力です。
- 市場の影響が少なくリスクが少ない投資方法・・固定価格買取制度で20年間同じ価格の電力買取が保障されているため、大きな資産の棄損リスクは少なく、日光が当たっている限り安定的に売電されます。
- 利回りが5%~、比較的高く安定的な利回りが売り
- 発電所所有ならかかる運営の手間がかからない
つまり、太陽光発電投資一般のベネフィットとプラス、ファンドならではの「少額投資できる」「発電所運営の手間がかからない」というベネフィットがあります。
太陽光発電ファンドの3つのリスク・デメリット
太陽光発電ファンドのリスク・デメリットは主に以下の3つです。
- 日照・天候により発電量のブレが生じる・・太陽光を基に発電しておりますので、当然日照量が少ないときには発電量・売電額も下がってしまいます。
- 地震・台風・水害など発電所棄損リスクも0ではない・・日本は災害大国です。このような天災リスクは発生します。
- 出力抑制で売電が100%できない地域がある・・九州電力管内など「電力の消費量より供給量が多い」ときに発電量が抑制される地域があります。
ただ、太陽光発電投資全般では以上の3点がリスクですが、ファンドではこのリスクが低くなる発電所選定でリスクをなくす、下げる対応をしているところが多く、上記の3つのリスクには、ファンドが「保障」として対応しているケースが多いです。
売電単価低減の傾向の中での太陽光発電ファンドの将来性は?
このように、安定性が高く投資として優秀な「太陽光発電ファンド」ですが、過去の記事でもお話したように、「固定価格買取制度」がなくなってしまう、という話や、1kWあたりの2020年の買取価格が14円になっており、2012年に制度が始まった当初の40円/1kWから大幅に下がっているという現状があります。
そのような現状で、太陽光発電ファンドの今後の将来性はどのようなものになるのでしょうか?
現在時点では太陽光発電投資の将来性は問題なし
固定価格買取制度の動向、太陽光発電買取価格は下がっている状況も踏まえても、現時点では、太陽光発電投資、太陽光発電ファンドの将来性は十分高く、投資をする価値は十分にあります。それはなぜなのでしょうか?
以下、その理由を列挙します。
- 太陽光発電設備の部材価格、設置費用の低減・・市場の広がり、生産量の増加につれて、パネル、パワーコンディショナーの価格は固定価格買取制度開始から現在まで安くなり続けています。現在の設置費用は、2012年当初の設置費用の40~50%くらいまで下がっています。この費用低減分で買取価格低下分をカバーできる範囲です。
- パネルの性能の向上で発電効率が上がっている・・また価格低下だけではなく、パネルの発電効率も上がりました。太陽光発電市場の広がりを背景として、ソーラーフロンティア・Qセルズ・ソラキューブなど多数のパネルメーカーが技術力を競うことで発電効率を上げてきました。
- 投資回収期間は変わらない・・また、設置費用が低減、発電効率が上がってきたことにより、投資の回収期間は10年程度と、2012年当時と変わりません。むしろ発電効率が上がっているので、今始めたほうが効率的な太陽光発電投資になる可能性もあります。
買取価格低下を補って余りあるほどの技術力の向上とコストの低下で、現在固定価格買取制度の全量買取価格が14円/1kWである現在でも、十分投資として有力で、現時点の将来性はまだまだ高いです。
ただ、このビジネスは「固定価格買取制度」という制度に依存します。必ず資源エネルギー庁の「固定価格買取制度」のニュース、動向をチェックするようにしてください。
まとめ:太陽光発電ファンドを選ぶ最大のポイントは、「リスクをどれだけ低減しているか」
ここまで、太陽光発電ファンドの概要、太陽光発電投資のベネフィット、リスク、将来性を振り返ってまいりました。
太陽光発電ファンドもたくさんの業者によって運営されており、運用方法や商品内容にも細かい差異があり、「どのようなファンドを選ぶか」ということが投資の成功に直結します。
太陽光発電投資一般のポイントに付け加えて、太陽光発電ファンドを選ぶポイントをまとめていくと、以下になります。
- 日照の変化・出力抑制の影響による売電収入の減少リスクを踏まえて、シミュレーションより発電量が下がったときにその補償をしてくれる商品設計かどうか
- 火災や水害などの自然災害による発電所の棄損リスクに対する保証があるのか
- 発電所の立地選び自体が日照・災害のリスクが低いところを選んでいるかどうか
この3点のケアをきちんと行なっているファンドに出資することが大切です。
つまり、上述した「太陽光発電投資のリスク」に対してきっちりとケアをしている商品設計をしているファンドに出資することが大切です。
リスクが低いといわれる太陽光発電ファンドですが、それでも想定される細かいリスクに商品設計が対応しているファンドを選び、手堅い資産運用をしていきましょう。
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