不動産投資信託(REIT)とは?少額から始められる手軽な投資

不動産投資信託とは、多くの投資家がお金を出し合って色々な不動産(住居・ビル・テナント等)を運用し、運用実績によって配分金が得られる投資方法で、現物の不動産との違いなどに興味をもたれている方が多いのではないでしょうか。

今回は不動産投資信託の基本知識と、日本で取引されている不動産投資信託、いわゆるJ-REITについてご紹介します。

不動産投資信託の概要とメリット・デメリット


不動産投資信託は上図のような仕組みになっており、普通の証券投資との大きな違いは、不動産運用会社が出した運用益が配分金(配当)となる点です。

・少額で始められる
・分散投資しやすい
・流動性が高く売買・現金化しやすい
・管理や運用しなくていい
・手軽にできる
・分配金の配当率が高い
・手数料が高い
・上場廃止リスク
・倒産リスク
・金利変動の影響を受ける
・天災により価格や分配金が下落するリスク
・空室により価格や分配金が下落するリスク

このように、手軽に始められる利回りの安定した投資と言われていますが、投資法人が上場取り消しなどになると、上場廃止後もしばらくは取引が可能な場合がありますが、価格の大幅な下落は避けられません。

・J-REITとは?

不動産投資信託中でも日本の市場で取引されている商品を指します。

REITとは「Real Estate Investment Trust」というアメリカ発祥の投資商品で、その日本版としてJapanの頭文字であるJをつけたJ-REITが生まれました。

・不動産小口投資とJ-REITの違い

J-REITと混同されやすいものに、不動産小口投資があります。

こちらは、不動産会社が自社で運用しているマンション等への投資を、小口で募集している商品で、かかる手数料や利益は不動産投資とほぼ同じです。

不動産小口投資はいわばマンション経営を小さくしたもので、比較的少額で始めることができ、現金化しやすいので投機的な運用がされる場合もあります。

不動産投資と不動産投資(J-REIT)の違いは?12項目を比較

投資を始めようという方で、不動産投資と不動産投資信託(J-REIT)、どっちがいいのだろう?と疑問に思われている方は多いかと思います。

結論から言うと、その違いは次の通りです。

  • 不動産投資:融資でレバレッジが見込めて老後の備えになる
  • 不動産投資信託(J-REIT):少額で手軽に始められて換金性が高い

ただ、それ以外にも様々な比較項目があると思いますので、ここでは15個の項目を紹介していきます。

資産運用の目的やライフスタイルに合うかどうかチェックしてみてくださいね。

※ここからは表記をJ-REITに統一します。

比較項目 J-REIT 不動産投資
1 手数料 あり(割高) あり
2 利回り 低め 長期では高
3 購入時の費用 少額~ 高額(融資可)
4 レバレッジ効果 なし 得やすい
5 換金性 高い 低い
6 リスク あり あり
7 節税 なし あり
8 かかる手間 少ない ややアリ
9 わかりやすさ 簡単 やや難しい
10 生命保険 なし あり
11 資産形成 不向き 向いている
12 老後の備え 不向き 向いている

1.意外と手数料が高いJ-REIT

不動産投資とJ-REITにはそれぞれ下記のような手数料がかかります。

  • 不動産投資の手数料:仲介手数料・売買手数料
  • J-REITの手数料:売買手数料・口座開設料・口座管理料

投資信託は持ち続けていたらその分だけ手数料がかかります。J-REIT最大のデメリットとも言えるかもしれません。

手数料ではありませんが、不動産投資にも修繕積立金などがかかる事がありますので契約時にいくらかかるか確認が必要です。

2.利回りは手数料や諸費用で下がる

両方安定した利回りがウリの投資ですが、不動産投資の場合は、表面利回りと実質利回り、J-REITの場合、は手数料を差し引かれた場合の利回りはしっかり見ておく必要があります。

特にJ-REITは手数料を差し引くとかなり利回りが下がってしまいます。

手数料を考慮すると、長期的に運用する場合は不動産投資の方が、利回りが高くなる可能性が高いです。

3.不動産投資は融資可能・J-REITは現金払い

不動産は現金でもローンでも購入できますが、J-REITは原則的に現金での購入となります。

4.レバレッジ効果は不動産投資が大きい

融資でより大きな収益を生み出すレバレッジ効果は、融資で購入できる不動産投資が当然大きいと言えるでしょう。

J-REITは通常「自己資金」=「投資可能額」でレバレッジ効果はなく、信用取引の場合でも3.3倍とあまり効果はありません。

不動産投資の場合、物件を担保に融資を受けられるため、大きなレバレッジ効果が得られ、少額の自己資金で数百万~数千万以上の不動産を購入することも可能です。

5.換金性が高いのはJ-REIT

不動産は売買に手間がかかりますが、買いたい時にすぐ買えて売りたい時にすぐ売れるのがJ-REITです。

6.それぞれにリスクあり

それぞれ別のリスク・デメリットがあります。例えば、不動産投資は投資額が大きい事によるリスクがありますし、J-REITの場合、不動産会社だけでなく証券会社が潰れるというリスクもあります。

7.節税効果が高いのは不動産投資

J-REITの相続税評価額は株と同じで時価となりますが、不動産投資の場合、現物の不動産で持つ事により相続税評価額が下がり、節税効果があります。

また、確定申告時に不動産投資で赤字が出た場合は、確定申告で損益通算ができ、課税所得を引き下げる事ができます。

不動産投資で節税できる税金は4種類|節税効果の大きさと注意点

8.かかる手間はJ-REITの方が少ない

両方、金融機関や管理会社にある程度運用を任せる事が可能ですが、運用期間の長さや管理に関わる手間などトータルで見るとJ-REITの方がかかる手間は少ないと言えるでしょう。

9.J-REITの方がわかりやすく簡単

不動産投資もJ-REITも初心者でも始めやすい投資と言われていますが、不動産投資はある程度の基礎知識や調査が必要な反面、J-REITは金融機関の商品の中から選ぶだけですので比較的システムがわかりやすく簡単に始める事ができるでしょう。

10.生命保険代わりになるのは不動産投資

ローンを組んで不動産を購入する場合、団体信用生命保険に加入する事ができ、ローン返済中に契約者がお亡くなりになったり高度障害になったりした場合にも、家族に資産を残すことができ、家賃収入も入ってくるため遺族年金代わりにもなりますが、J-REITにはその様な保障はありません。

11.資産形成は不動産投資の方が有利

不動産投資の場合、マンションなどの現物が資産として残りますが、J-REITの場合は現物は残りません。

節税の項目でも触れたとおり、資産は不動産として持っておく方が相続では有利になります。

12.老後の備えは不動産投資の方が向いている

老後の備えとしては長期運用で安定的な収入を得られる不動産投資の方が向いていると言えます。

老後に年金以外の収入を得る4つの方法 | 老後の収入が年金だけだと苦しい

不動産投資とJ-REITそれぞれの違いを知り自分にあった投資を選ぼう

不動産投資とJ-REITの違いはおわかりになったでしょうか。

それぞれメリットやデメリットがありますが、まずは、投資の目的を明確にするほか、自分にあった運用方法を吟味してみてくださいね。

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